片隅の彼

かつてSEとして働きながらも、挫折と孤立を抱え、長い引きこもり生活を経験した主人公=語り手。そんな彼が出会ったのは、極端な自己規律と独特の価値観に縛られた青年・東風(あずかぜ)君だった。外来語を避け、15分刻みで学習や筋トレ、食事を管理する東風君は、就職活動やアルバイト面接に連敗し、社会から遠ざかっていた。語り手は、伯父が運営する若者支援センターで彼と再び関わり、同じ境遇の者同士として少しずつ心を通わせる。しかし過激な言動や周囲との摩擦から距離を置くことになり、語り手自身も再び現実から目を背ける日々へ――。
やがて、東風君は仕事や自立、仲間作りといった現実的な目標を持ち、前を向いて歩き出す。その変化を目の当たりにした語り手もまた、自分の「片隅」から一歩を踏み出す決意を固めていく。
『片隅』は、人との関わりが生む変化と希望を静かに描く物語です。
引きこもりや孤立といった同じような悩みを抱えている方、または身近に同じ境遇の人がいる方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。